この記事ではイーサリアムの定番ステーブルコインである”DAI”(ダイ)を発行する方法を説明するよ!
DeFiの普及にともなって、DAIを活用する機会が大きく増えています。
ツールの使い方を覚えておくと、役に立つことがきっとありますよ。
ツールの使い方を覚えておくと、役に立つことがきっとありますよ。
この記事は暗号資産への投資を推奨するものではありません。
サービスの使用にあたっては十分注意し、自身のリスクで利用するようにしてください。
内容は2020年10月17日時点のものです。各種画面や仕様に変更が加えられている可能性があります。
This article’s contents
ステーブルコイン”DAI”ってなに?
DAIの発行方法を説明する前に、まずDAIとはいったいどのようなものかかんたんに紹介しておこう。
DAIは、1DAI=1$になるよう設計された暗号資産担保型のステーブルコイン
まずそもそも「ステーブルコイン」ってのがわからん!
ステーブルコインというのは、「stable = 安定した」という名前のとおり、価値ができるだけ動かないように設計された仮想通貨(暗号資産)のことだよ。
仮想通貨なのに価値が動かないの?
完全に動かないというわけではなく、日々多少の変動はあるけどね。
DAIの場合は1DAI=1$になるよう設計されているよ。
DAIの場合は1DAI=1$になるよう設計されているよ。
DAI以外にもステーブルコインはいろいろあって、USDTやUSDCなどもよく使われているね。
できたてのものやマイナーなものも含めるともっとたくさんある。
できたてのものやマイナーなものも含めるともっとたくさんある。
仮想通貨なのにどのように価値が安定するようにしているのだろうか?
たとえばUSDTでは、発行者のTether社が実際に現実の米ドルを受け取って銀行に保管し、それを裏付けとして1USDT=1$のステーブルコインを発行している。
実際にドルを持っているのか。
それは価値が保証されていることがわかりやすいな。
それは価値が保証されていることがわかりやすいな。
DAIの場合は、現実の米ドルではなく、仮想通貨のETHや比較的普及している他の仮想通貨を担保として預かり、それを裏付けとしてステーブルコインを発行しているんだ。
ETHが担保なの?
でも、ETHは値段が毎日大きく変わるよ?
でも、ETHは値段が毎日大きく変わるよ?
うん、いい指摘だね!
なので、ETHの値段がある程度下がっても大丈夫なように、1ETH担保として預けると1ETH分のDAIが発行できるわけじゃなくて、認められた一定の範囲内でということになるよ。
なので、ETHの値段がある程度下がっても大丈夫なように、1ETH担保として預けると1ETH分のDAIが発行できるわけじゃなくて、認められた一定の範囲内でということになるよ。
たとえばDAIを発行できるスマートコントラクトであるMakerプロトコルに300$分のETHを預けると、200$分までDAIを発行することができる。
なるほどな!
ちゃんと余裕をもってるんだな!
ちゃんと余裕をもってるんだな!
そうやって、DAIの価値が1$を下回らないようにしているわけだね。
そのあたりのくわしいDAI発行の仕組みはこのあと説明するよ。
そのあたりのくわしいDAI発行の仕組みはこのあと説明するよ。
DAIを発行するMakerプロトコルは自律分散型組織のMakerDAOが管理・運営
DAIはどこか特定の会社や政府機関が発行しているのではない。
Makerプロトコルという、イーサリアム上にデプロイ(展開)されたスマートコントラクトが自動的に行っているんだ。
Makerプロトコルという、イーサリアム上にデプロイ(展開)されたスマートコントラクトが自動的に行っているんだ。
会社や政府じゃないのにそんなことできちゃうんだ?
うん。
全部スマートコントラクトが自動で仕組みを動かしているのが画期的なところなんだよね。
ただそれは今回の本題じゃないのでくわしい説明は割愛。
全部スマートコントラクトが自動で仕組みを動かしているのが画期的なところなんだよね。
ただそれは今回の本題じゃないのでくわしい説明は割愛。
しかしDAIが存在するということは、サービスの内容を考えたり、プログラムを作ったりする人がいるということだろう?
もちろんそういう人はいる。
それをやってるのがMakerDAOという組織だね。
それをやってるのがMakerDAOという組織だね。
DAO(Decentralized Autonomous Organization)は「自立分散型組織」のことで、一種のコミュニティのようなものだ。
サービスの運営方針は公開の場での投票によって決められ、プロダクトの開発もそこに集まった個人の技術者が行っている。
サービスの運営方針は公開の場での投票によって決められ、プロダクトの開発もそこに集まった個人の技術者が行っている。
会社じゃないのに人が集まって物を作ってるのか……。
なんだかよくわからない組織だな……。
なんだかよくわからない組織だな……。
DAIを普通に発行して使う分にはそこはあまり気にしなくていいよ。
さっき言ったとおり、実際にDAIのサービスが動いてるのはすべてスマートコントラクトの上だからね。
さっき言ったとおり、実際にDAIのサービスが動いてるのはすべてスマートコントラクトの上だからね。
そのスマートコントラクトはオープンソースになっていて挙動はすべて公開されているから、だれの目からも不正が行われていないことを確認することができる。
DAIの役割と用途
ステーブルコインであるDAIのかんたんな仕組みはなんとなくわかったが、そもそもDAIは何に使えるんだろうか?
まず価値が安定しているということで送金には便利だね。
ETHでもいいんだけど、大きく価格変動することがあるから送金用にはやや不便だ。
ETHでもいいんだけど、大きく価格変動することがあるから送金用にはやや不便だ。
お金が届くのを待ってる間にあんまり極端に値段が上がったり下がったりしたら困るもんなー。
取引や買い物に使ったり他にもいくつか用途があるんだけど、最近特にDAIのニーズが高まってるのはDeFi(ディーファイ、デファイ)の分野だね。
DeFi?
Decentralized Financeの略で、日本語では分散型金融。
ま、スマートコントラクト上で仮想通貨を預けたり、取引したりすることで利益を得る仕組みという感じだ。
そこでDAIがすごくよく使われている。
ま、スマートコントラクト上で仮想通貨を預けたり、取引したりすることで利益を得る仕組みという感じだ。
そこでDAIがすごくよく使われている。
どんなふうに?
たとえばすぐに使わないETHを持っていたとして、そのまま持っていても価格の上昇以外では何も利益が生まれないでしょ?
すぐに使わないETHなんてもってないよ。
コロネは持ってなくても持ってる人はいるでしょ!
コロネのことはさておき、たしかにただETHを持っていても何も生み出すことはないな。
すげーな!
なんか魔法みたいだ!
なんか魔法みたいだ!
そんなんで、DAIはDeFiで運用するために使われることがすごく増えているね。
DAI発行の仕組み
ここからはもうちょいくわしくDAIを発行する仕組みを説明するよ。
えー、さっきの説明でもう十分じゃん。
ぜんぜん十分じゃないよ!
ちゃんとDAI発行の仕組みを理解しておかないと、担保を清算されたりして損するリスクが高まるんだからね!
ちゃんとDAI発行の仕組みを理解しておかないと、担保を清算されたりして損するリスクが高まるんだからね!
損することもあるのかよ!
当たり前でしょ!
使い方を間違えれば当然そういう危険性があるんだよ!
使い方を間違えれば当然そういう危険性があるんだよ!
しょうがない、ちゃんと聞いておくかー。
DAIは担保となる暗号資産を提供することで一定の範囲内で発行できる
さっきも説明したとおり、DAIは担保となる暗号資産をDAI発行用のスマートコントラクトに預け入れることで発行できるようになる。
この担保のことをCollateral(コラテラル)と呼ぶよ。
この担保のことをCollateral(コラテラル)と呼ぶよ。
預け入れたETHの額に対して一定範囲内でDAIを発行できるんだったな。
うん。
担保にできる暗号資産にはいくつか種類があるんだけど、ETHでは最低150%に設定されている。
この比率のことを「Liquidation Ratio」と呼ぶよ。
Liquidationとは「清算」のことだ。
担保にできる暗号資産にはいくつか種類があるんだけど、ETHでは最低150%に設定されている。
この比率のことを「Liquidation Ratio」と呼ぶよ。
Liquidationとは「清算」のことだ。
つまり、発行するDAIの最低1.5倍の額のETHを担保として預け入れる必要があるということだね。
300$分のETHを預け入れれば、200$分までDAIを発行できるわけだ。
300$分のETHを預け入れれば、200$分までDAIを発行できるわけだ。
ETHの値段が下がって150%を下回ったらどうなるの?
そうなると、世にも恐ろしいことがおきる……!
世にも恐ろしいこと!?
担保価値がLiquidation Ratioを下回ると強制清算の危機!
300$分のETHを預けてLiquidation Ratioギリギリいっぱいの200$分のDAIを発行していたとしよう。
その状況でETHが少しでも値下がりしてしまうと担保のETHが強制的に清算されてしまう!
その状況でETHが少しでも値下がりしてしまうと担保のETHが強制的に清算されてしまう!
担保が強制的に清算!
それのなにが恐ろしいの?
コロネは清算の中身を知らないから平然としていられるんだよ!
担保が清算されると、担保のETHがオークションで安く買い叩かれた上に罰金を支払わないといけなくなるんだ!
担保が清算されると、担保のETHがオークションで安く買い叩かれた上に罰金を支払わないといけなくなるんだ!
罰金!
それは恐い!
それは恐い!
この罰金のことをLiguidation Feeという。
ETHの担保に対しては現在13%が設定されていて、自分が発行して負債となっているDAIの額に対してこのLiguidation Feeがかかってくる。
ETHの担保に対しては現在13%が設定されていて、自分が発行して負債となっているDAIの額に対してこのLiguidation Feeがかかってくる。
オークションというのは?
担保にしているETHを公開の場で売却するんだよ。
市場の価格よりいくらか割引された価格で落札されることがほとんどだ。
市場の価格よりいくらか割引された価格で落札されることがほとんどだ。
そこからDAIを発行してそのまま保有している期間に応じた利息を支払って、余ったETHがあれば返却される。
それでその一連の契約は終了となる。
それでその一連の契約は終了となる。
清算されるとETHを割安で売った上に、罰金と利息をまとめて支払わなければいけないわけか……。
それはたしかに恐ろしいな……。
それはたしかに恐ろしいな……。
だから、DAIを発行しているあいだはETHの値動きに対して敏感である必要があるよ。
ETHの値動きが気になってゆっくり寝ていられなくなりそうだな……。
なので、担保に対してギリギリまでDAIを発行するんじゃなくて、200%以上のLiquidation Ratioをキープできる量までにするとか、つねに十分な余裕をみておくことが大切だね。
DAI発行の費用
上で利息について少し話したけど、担保を入れてDAIを発行すると利息を支払う必要がでてくる。
この利息のことを「Stability Fee」という。
日本語にすると「安定化費用」みたいな感じかな。
この利息のことを「Stability Fee」という。
日本語にすると「安定化費用」みたいな感じかな。
清算されなかったとしても、もちろんタダでは発行できないわけだな。
Stability Feeは担保とする暗号資産によって個別に設定されていて、年利として表される。
ETH担保の場合は、現在2%だね。
ETH担保の場合は、現在2%だね。
それって安いの? 高いの?
いちがいに高い、安いとは言えないけど、たとえばDAIを年利2%の利息で発行して、それをそのまま年利6%がつくどこかのDeFiに預け入れれば、その差額4%が利益になるということはいえるね。
なるほどなー。
そうやってDAIを使うわけかー。
そうやってDAIを使うわけかー。
Stability FeeはDAIを返却するときに支払うことになるよ。
この返却はいつでも行うことができる。
この返却はいつでも行うことができる。
ずっとかりっぱでもいいの?
Liquidation Ratioを下回りさえしなければね!
返済を急かされないのはいいな!
自分が発行したDAIを返却すればLiquidation Ratioが上がるから、その分の担保は引き出していい。
DAIをすべて返却して、全額担保を引き出せば契約はクローズとなる。
DAIをすべて返却して、全額担保を引き出せば契約はクローズとなる。
DAIのさらに詳しい仕組みについては公式のホワイトペーパーがあるから参照してね。
DAIの発行方法
DAI発行のリスクをちゃんと認識してもらったところで、DAIの発行方法を具体的に説明しよう。
Oasis.appへのアクセス
まずはMakerDAOのトップページ(https://makerdao.com/)にアクセスしよう。
このページはブックマーク推奨だ。
このページはブックマーク推奨だ。
画面上部のメニューから「Oasis」を選択。
OasisはDAIを発行するためのDappsだよ。
OasisはDAIを発行するためのDappsだよ。
Oasisを開いたら画面上部の「Borrow」か画面中央の「Borrow DAI」をクリック。
「Connect a Wallet」から自分が使ってるウォレットとOasisを接続しよう。
ここではMetaMaskを選択するよ。
ここではMetaMaskを選択するよ。
MetaMaskが立ち上がるから、接続したいアカウントにチェックを入れて、「次へ」をクリック。
「Connect」をクリック。
これでOasisとMetaMaskを接続できたよ。
「Get Started」をクリックして進めよう。
「Get Started」をクリックして進めよう。
Vaultの作成
担保を提供してDAI発行するために「Vault」(ヴォールト)を作成するよ。
Vaultは「金庫室」とか「貴重品保管庫」とかって意味で、このVault単位で担保となる暗号資産とDAIを管理していく。
Vaultは「金庫室」とか「貴重品保管庫」とかって意味で、このVault単位で担保となる暗号資産とDAIを管理していく。
Vaultの担保とする暗号資産にチェックを入れよう。
ここではETHを選択するよ。
ここではETHを選択するよ。
画面を下にスクロールさせて「Continue」をクリック。
Vaultを作成するためにトランザクションを送信するよ。
「Setup」をクリックしよう。
「Setup」をクリックしよう。
MetaMaskが立ち上がるから、内容を確認してトランザクションを送信しよう。
GAS代が高けえな。
OasisのトランザクションはけっこうGAS代がかかるね。
発行するDAIが少額だと割りに合わないことが多いから、ある程度まとまった額を一度に発行しておきたいね。
発行するDAIが少額だと割りに合わないことが多いから、ある程度まとまった額を一度に発行しておきたいね。
しばらくしてトランザクションが承認されたら、「Continue」をクリックしよう。
担保にするETHと発行するDAIの設定
この画面で担保にするETHと発行するDAIの数量を入力するよ。
発行できるDAIの最低量は100DAIとなっているよ。
また、Collateralization Ratio(担保率)が150%を下回る数値はもちろん受け付けてくれない。
また、Collateralization Ratio(担保率)が150%を下回る数値はもちろん受け付けてくれない。
次の画面で担保と発行するDAIの設定が表示されるよ。
Vaultを作ってすぐに清算されないように条件をよく確認しておこう。
問題なけれチェックを入れて、「Open Vault」をクリックしよう。
Vaultを作ってすぐに清算されないように条件をよく確認しておこう。
問題なけれチェックを入れて、「Open Vault」をクリックしよう。
3ETHを担保に500DAIを発行するわけか。
Collateralization Ratioは224.85%だから十分な余裕があるな。
Collateralization Ratioは224.85%だから十分な余裕があるな。
MetaMaskが立ち上がるから、内容を確認してトランザクションを送信しよう。
しばらくしてトランザクションが承認されれば担保の提供とDAIの発行は完了だ。
現在のVaultの状況が表示される。
Collateralization Ratioの数値はまめにチェックしておこう。
現在のVaultの状況が表示される。
Collateralization Ratioの数値はまめにチェックしておこう。
これでDAIが発行できて自由に使えるようになったわけだな。
DAIの返却と担保の回収方法
Vaultの操作方法
最後にVaultの操作方法をひととおり説明しておくよ。
いずれの操作もトランザクションの送信が必要になる。
いずれの操作もトランザクションの送信が必要になる。
- Deposit: 担保となるETHの預け入れ
- Withdarw: 担保なるETHの引き出し
- Pay Back: 発行したDAIの返却
- Generate: DAIの発行
この中でWithdarwとGenerateの操作は特に注意して行おう。
担保のETHが減っても、発行したDAIが増えてもCollateralization Ratioが下がるから清算のリスクが高くなる。
担保のETHが減っても、発行したDAIが増えてもCollateralization Ratioが下がるから清算のリスクが高くなる。
ETHの価格が安くなってCollateralization Ratioが下がってしまったときはDepositで担保のETHを増やせばいいのかな?
うん。
それかPay BackでDAIを返却することだね。
そのとき必要なのがETHかDAIかどちらであるのかに応じて使い分けよう。
それかPay BackでDAIを返却することだね。
そのとき必要なのがETHかDAIかどちらであるのかに応じて使い分けよう。
Pay Backは初めて行うときにちょっと設定が必要だから説明するよ。
DAIを返却(Pay Back)する方法
VaultのPay Backを選択したら、操作画面の「Unlock DAI to Continue」のスイッチをOnにしよう。
手持ちのDAIのVaultへの送信を許可するためのトランザクションを送信するよ。
内容を確認して「確認」ボタンを押そう。
内容を確認して「確認」ボタンを押そう。
トランザクションが承認されたらDAIを返却することができるようになる。
数量を入力して「Pay Back」をクリックすればまたMetaMaskが立ち上がるから、トランザクションを送信して承認されればDAIの返却は完了だ。
数量を入力して「Pay Back」をクリックすればまたMetaMaskが立ち上がるから、トランザクションを送信して承認されればDAIの返却は完了だ。
おわりに
というわけでDAIの仕組とETHを担保にして発行する方法を説明したよ。
よしっ!
使い方も分かったし、オレもDAIを発行してDeFiで運用してみるかな!
使い方も分かったし、オレもDAIを発行してDeFiで運用してみるかな!
元手になるETHは?
ないよ!
だから、ファオ貸して!
だから、ファオ貸して!
だれが貸すか!
だいたい、そんなETHがあれば自分で使ってるわ!
だいたい、そんなETHがあれば自分で使ってるわ!
ケチ!
DAIの発行にはリスクが伴います。
清算にはくれぐれも注意し、余裕のある資金で利用してください。
清算にはくれぐれも注意し、余裕のある資金で利用してください。