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ブロックチェーンゲーム市場 2019年の振り返りと2020年への提言 「NFTから広がるゲーム世界」へ

2019年ももう終わりだね!

あっという間の1年だったな!

というわけで、ブロックチェーンゲームの2019年をかんたんに振り返って、さらに「2020年はこうなってほしい!」という提言をするよ!

1年の締めくくりだな。

2019年はブロックチェーンゲームにとって大きな成長があった1年

2019年はCryptoSpells、コントラクトサーヴァント、Gods Unchainedといったタイトルが正式リリースされ、ちゃんと遊べるブロックチェーンゲームが増えた1年だったね。

ナイトストーリーやインフィニティ・スターといったやり込み要素のあるタイトルもリリースされたな。

2018年にリリースされたゲームでまともに遊べるのはマイクリくらいだから、そういう意味で2019年はよかったなー。

まだ正式リリースされてないゲームでも、Crypto AlchemistやEggryptoといった注目作がβテストを実施したし、開発中のタイトルが国内外でいくつも発表された。

特に秋くらいからは新作ラッシュだったな。
2020年に向けていい弾みがついたように思える。

うん。
この1年でブロックチェーンゲームの人口もだいぶ増えた印象だね。

トップゲームのDAUが10倍になったってやつか?

そうそう。
去年の11月くらいまではもっともDAUの多いブロックチェーンゲームでも300〜400くらいだったけど、マイクリの登場によってそれが一気に3,600と10倍くらいの規模になった。

ピラミッドの頂点にあるゲームが全体を牽引していくことになるから、マイクリのユーザー規模がこれだけ伸びたというのは、ブロックチェーンゲームの市場にとってはとても大きいインパクトがあったね。

年末になってからは、コントラクトサーヴァントのプレセール成功という真新しいニュースもあったな。

約3,500ETHの売り上げと、1回のセールとしてはマイクリやクリスペの規模も超える額になったね。
セールの規模としては、これ以上は望めないくらいの大成功と言えるんじゃないかな。

2020年に向けてブロックチェーンゲームは順風パンパンって感じか!?

それをいうなら順風満タンだろう。

順風満帆、だよ。

あ、あれ、そうだったか……!?

ドヤ顔で人の間違いを指摘して自分が間違えるヤツー!!

ぐ、ぐぬぬ……。

で、実際に順風満帆だったかというと、実はなかなかそうとも言えなくてね。

あれ、そうなの?

トップゲームのユーザー数が10倍になったと言っても、もともと極めて小さい市場の話だからね。
スマホゲームとかコンソールのゲームとかも含めたゲーム市場全体に大きなインパクトを与えるにはまだぜんぜん至っていないよ。

たしかに、数百万ダウンロードがあるようなスマホゲームから見れば、たったの3,600ということになってしまうな……。

コンサヴァのセール成功についても、売上自体は大きかったけど、購入した人の数はわずか294人で、これでは市場が広がったとはいいがたい面がある。

廃課金者だらけだな!

むしろ、ブロックチェーンゲームは過熱感のわりに、プレイヤーの数がまだ絶対的に少ないという課題がはっきりしたといえるんじゃないかな。

ブロックチェーンゲームの課題か。

2020年に向けて、そこをさらに深掘りしていこう。
それがこの記事で特に言いたい内容だよ。

ブロックチェーンゲームはキャズムをぜんぜん超えられていない

ユーザー数が伸びたとは言え、ブロックチェーンゲームがさらに市場を広げていくにはまだたくさんの超えるべきキャズムが存在してる。

キャズムってなんだっけ、クオン?

えっ!?
なんでそれを私に聞くんだ!?

物知りなクオンなら知ってるかなーって!

くっ……、なぶるか!

クオンが実はポンコツだってバレてしまうからそれくらいにしてあげようね。

ファオまで!

キャズムってのは「溝」って意味だよ。何かが成功するために超えるべき障害、課題といったところだね。
ブロックチェーンゲームが成功するためには、大きな発明や工夫が必要ってことだ。

なるほどな!

ブロックチェーンゲームが超えなければいけないキャズムというと……。

ゲームのクオリティとかおもしろさとかは別として、ざっと挙げるだけでもこんなものがあるよ。

ブロックチェーンゲームが超えるべきキャズムの例

  • ゲームを始めるのに仮想通貨ウォレットのセットアップが必要
  • 仮想通貨ウォレットの秘密鍵の保管が大変
  • ゲームアイテムを購入するのに仮想通貨が必要
  • 仮想通貨を手に入れるには取引所の口座開設が必要
  • ゲームアイテムを購入するたびにウォレットからトランザクションを送らなければならない
  • トランザクションが通るのがたびたび遅延する
  • 法規制や税金への対応がまだ完全に固まっていない

あー、こういうのなー。
どれもあるよなー。

どれ一つとっても一般のゲームプレイヤーがブロックチェーンゲームをプレイするのをためらう理由になるな。

これらのキャズムが解決されるには、技術的な革新や法律・規制・税制など制度面での整備を待たなければならない。
ブロックチェーンゲームの事業者側ではどうにもならないものが多いんだ。

技術的にできないものはできないし、法律とか税金は開発してる人にはどうにもならないよな。

もちろん事業者側もただ待ってるだけでなく、いろいろ工夫したり動いたりはしているんだけどね。

残念ながら、これらのキャズムは2020年の1年間で解消できるか非常に不透明だ。
解決方法を考え続ける必要はあるけど、解決されるという前提で市場の成長を期待することはできない。

そう都合よく事態が進展するわけはないな。

だから、ここで挙げたキャズムを超えるのとは違う方法で市場を伸ばす方法を考えなければいけないわけだね。

そんことできるのか?

それを話す前に、ちょっと別な大切なことを言っておきたいんだよね。

別な大切なこと?

「ブロックチェーンゲームは投資」「ブロックチェーンゲームは儲かる」「ブロックチェーンゲームで稼ぐ」という言説の否定

2020年を迎えるにあたって、ブロックチェーンゲームの事業者に一つ警鐘を鳴らしておきたいと思う。
ここで言う「事業者」というのは、ブロックチェーンゲーム関連の開発会社とかメディアとかインフルエンサーとか、ブロックチェーンゲームに関わってる法人や個人のことだよ。

事業者への警鐘か……。

TwitterとかWebサイトとかで、「ブロックチェーンゲームは投資」「ブロックチェーンゲームは儲かる」「ブロックチェーンゲームで稼ごう」って感じの表現を見ることがあるでしょ?

そんな感じのは、まあ、ときどき見かけるな。

私はブロックチェーンゲームの事業者や関係者、あるいは関連メディアがそういうメッセージを出すのはやめるべきと考えている。

ほう!
いつになく強い提言だな!

「ブロックチェーンゲームは投資」「ブロックチェーンゲームは儲かる」「ブロックチェーンゲームで稼ぐ」という言説の何が問題か

私がなんでそういう言説を否定するかというと、ブロックチェーンゲームのバブルを膨らませ、崩壊に向かって加速させる行為だからなんだよ。

それはまた穏やかでないな!

そういった事業者が「稼げる」ということを喧伝して人を集めると、ゲームを楽しむためにではなく、稼ぐため、儲けるためにブロックチェーンゲームをプレイする人が増えるよね。

まあそりゃ、そういうメッセージに反応するのはそういう人だよな。

儲けたいって人は投機的に行動するから、ゲームとしての実際の需要以上にブロックチェーンゲームのアセットを購入する。
そうするとアセットの価格が本来の価値以上に上がっていく。

それがつまり……。

バブルっていうことだよね。
バブルはいつか必ず弾けるから、そうなったときにいろんなゲームのアセット価値が暴落して、市場参加者の全員、まともな開発会社やプレイヤーまでも大きな被害を受けることになる。

さらに、バブル的な相場が生まれれば、より悪質な事業者やインフルエンサーを呼び寄せてしまう。
市場にはすでに儲け目的の人たちが多く参加してるから、悪質な事業者にとっては実にいいカモだ。
そういう人たちはとても巧妙に効率的に行動する。バブル崩壊時にますます被害が拡大するわけだ。

うわ、ありそうな話!

バブル崩壊でアセット価値が下がって被害が出るだけでなく、消費者保護って名目で政府機関から過剰な規制強化が行われて、自由なゲーム開発が制限されることも予想される。

それも実にありそうな話だな。

日本って国ではまずそうなるよ。
そうなるとね、ブロックチェーンゲーム市場の立ち上がりが大きく遅れてしまうんだよ、
本当に、「失われた◯年」といったことになりかねない。

めっちゃ怖い話だ!

これは「本当にあった怖い話」だよ。
私たちはついちょっと前にこれとまったく同じことを経験してるよね?

仮想通貨バブルの崩壊か……。

そのとおり!

「ブロックチェーンゲームは投資」「ブロックチェーンゲームは儲かる」「ブロックチェーンゲームで稼ぐ」という言説は仮想通貨バブルの再来を招く

2018年に仮想通貨バブルが崩壊したその前に、どういったことがあったかを思い出して欲しい。

そう言われると、いろんなよくわからないコインが出てきたり、仮想通貨のサイトとかインフルエンサーって人たちがさかんに投資を煽ってたりしたよな。

「今月はいくら儲かった」とか、「次はこのコインが来る!」とかそういうのはよく目にしたな。

それはまだマシな方で、もっと悪質なのもあったね。
いちいち例は挙げないけど、SCAM、パンプ行為、嵌め込み、まあいろいろだ。

特に怖いのはさ、ブロックチェーンゲームは仮想通貨の隣接領域だから、そういう悪質な人たちが入ってきやすいってことなんだよ。
ノウハウがほぼそのまま活かせてしまう。

そりゃマジでこええな!

だから、影響力のある事業者が「ブロックチェーンゲームは儲かる」ってメッセージを出してしまうのは、バブルを呼び寄せ、被害を拡大させることに加担してるってことなんだよ。

「ブロックチェーンゲームは投資」「ブロックチェーンゲームは儲かる」「ブロックチェーンゲームで稼ぐ」という言説は一般ゲーマーを遠ざける

別側面の問題として、「ブロックチェーンゲームは儲かる」という表現は一般ゲーマーをかえってブロックチェーンゲームから遠ざけてしまうということがある。

どう見てもそういうゲームはうさん臭く見えてしまうだろうからな……。

バブルで高くなりすぎたアセットの値段に加えて、「ゲームで儲けよう!」って人たちがひしめいているわけでしょ?

そんなところに一般ゲーマーがわざわざ入ってくるわけないよな。

そういう意味でも、「ブロックチェーンゲームは儲かる」っていう言説をとってしまうと事業者は結果的に自分たちの首を閉めることになるんだよ。
市場の参加者が少なくなって、ごく少数の投機目的の人たちの間でババ抜きし合ってるような環境になるんだから。
その先に待ち受けるのはバブルの崩壊だし。

地獄のような環境だな……。

だから、「ブロックチェーンゲームは投資」「ブロックチェーンゲームは儲かる」「ブロックチェーンゲームで稼ぐ」って言説はあらゆる面で悪手だ。
まともな事業者でありたいなら、決してすべきではないよ。

「ブロックチェーンゲームは儲かる」って言説の悪質さは伝わったんじゃないかと思う。
念のため補足しておくと、私は決してブロックチェーンゲームのアセットの売買をするなといってるわけではないよ。

それ自体に問題があるわけではないからな。

うん。
マーケットがあって値段がついているものを売買するのは当たり前のことだし、アセットを売買できるというのがブロックチェーンゲームの魅力の一つであるのは確かだからね。
株式の取引や不動産の取引そのものは何の問題もないのと同じ。

でも、「とにかく買えば儲かる、やれば儲かる」という風潮になればそれはバブルだ。事業者がそっちの方向に誘導するような言説を否定してる。
そこは誤解しないで欲しい。

ピプリクトとしての意志表明

ピプリクトは2018年8月の創刊以来、「ブロックチェーンゲームは投資」「ブロックチェーンゲームは儲かる」「ブロックチェーンゲームで稼ぐ」ってスタンスは一切とっていない。
ただ、「アセットがいくらで売れた!」とか「このゲームの収支がいくらになった!」とか、そういった内容を投稿したことは何度かある。

それはあったな。

それがブロックチェーンゲームのアイテム購入を煽っているように見えてしまったらとても申し訳ないと思う。
2020年からはそういう記事やツイートの投稿は一切しない。

ブロックチェーンゲームにおいてアセット価値の話は切っても切れないものなので、どうしても価値や価格について記事やツイートをすることはある。
その場合もアイテム購入を煽っている内容にならないよう、十分注意して運営するからね。

より気を引き締めてピプリクトを運営していかなければならないな。

さて、厳しい話はこれくらいにして、最後に2020年に向けて、どうブロックチェーンゲームの市場を健全に発展させていくべきかという話をするよ。

やっぱり明るい話で締めないとな!

2020年は「NFTから広がるゲーム世界」というコンセプトへ

この記事の前半のほうで、「ブロックチェーンゲームの市場はプレイヤーがまだ少ない」「キャズムを超えるのとは違う方法で市場を伸ばす方法を考えなければいけない」という話をしたよね。

……………………。
そうだったっけ?

したよ!
ついさっきのこと、忘れんなよ!

難しい話が間にあったからな!

まあ、いいや。
最後に話したいのは「じゃあどうやってブロックチェーンゲームの市場を伸ばしますか」ということだよ。

どんな方法があるんだろうか?

方法というかコンセプトだね。
私が思うに、ブロックチェーンゲームの一番革新的で楽しいところは、1つのアイテムがいろんなゲームで使えるということだ。

実際にあった例ではマイクリとクリスペのNFTコンバートとかだね。

マイクリのヒーローがクリスペのカードとして、クリスペのカードがマイクリのエクステンションで使えるってヤツだな!

うん、それそれ。
実態としては1つのトークンなんだけど、それが使われるゲームによっていろんなものに変わるというのが新しくて楽しいんだよね。

従来のゲームではアイテムはそのゲームの中でしか使えず、役割も姿も基本的に一つだ。
でも、ブロックチェーンゲームであれば、アイテムの所有権を示すNFTをどんなゲームも取り入れることができ、どんな役割や姿でも与えることができる。

私の持つもともと武器であったNFTが、他のゲームではキャラクターになったり、ペットになったりしうるということだな。

ブロックチェーンゲームでは、アイテムをコアとしてゲーム世界が拡張されていくんだよね。
アイテムのNFTが1つあれば、いろんなゲームが楽しめる世界だ。

具体的にはどんな感じ?

ファンタージーのアクションゲームで手に入れた剣が、SFのシューティングではレーザーガンとして使えたり、街づくりのシミュレーションゲームでは建物になったりって感じだね。

そういうの、めっちゃ夢があるよな!

これのポイントとしては、キャズムを無理やり超えなくても、今あるブロックチェーンとゲームの技術でもすでにほぼ実現可能ってことなんだよね。

すでに例がいくつかあるわけだしな。

なので、2020年はこの「NFTから広がるゲーム世界」というコンセプトを強く提唱したいんだよ。

いろんなゲームの間でお互いのアイテムが使えるようになってほしいわけだな!

うん。
そういう環境が実現されれば、おもしろいゲームが生まれるとそれがそのゲームだけの価値ではなくて、市場全体の価値向上につながる。
一つのヒット作で市場が大きく盛り上がることが期待できる。

ヒット作のアイテムが他のゲームでも使え、他のゲームのアイテムがヒット作のゲームでも使えるようになるからな。

一般ゲーマーにアピールできる部分も大きくて、これまでのゲームにはまったくない要素として魅力を打ち出すことができる。
日本のブロックチェーンゲームには原則ガチャはないといういい面があるし、悪質な事業者を排除してバブル的な雰囲気がなくなれば、一般ゲーマーもだいぶ参入しやすくなるはずだよ。

2020年がそういう年になればいいな!

ピプリクトとしても、少しでもその手助けをしたいね。
異なるゲーム間でのアセットの相互利用に積極的なゲームを特に推していきたいし、攻略も集中的にやっていきたいと思ってるよ。

2019年の締めくくりにふさわしい結論になったな!

うん。
というわけで、2019年はおつかれさまでした!
2020年もよろしくね!