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はじめに
本稿は、マイクリのエコシステム問題を抜本的に解決するための試案です。
現在のマイクリのゲームシステムを大きく改変することなく、その全体をおおって包括するより上位の概念と仕組みを導入することで、エコシステム問題の解決とマイクリ経済の活性化を実現することを提案します。
マイクリのエコシステムの問題点
マイクリのエコシステム問題とは具体的には以下のことを指します。
- ヒーローセール以外GUMの用途がなく、GUMが購入されなくなっている
- 下位のヒーローとエクステンションのニーズがなく価値が低下している
- ゲーム内マーケットでは低価格のアセットを除き、ほとんど取引されていない
これらの問題はマイクリプレイヤーにとってほぼ共通認識になっていると考えてよいと思われます。
マイクリの運営チームは何回かのエコシステムアップデートを行ってこの問題を解決しようとしましたが、状況はまったく改善されていません。
こう結論づけるのは早いと思われる方もいらしゃると思いますが、これらの問題は対処療法的なエコシステムの手直しやテコ入れでは解決不可能と私は考えています。エコシステムの諸問題は、まったく別のアプローチによって解決されるべき問題と考えます。
問題解決の順番としては、エコシステムの改修よりは、まずすべてのアセットの用途となるゲームコンテンツの拡充が必要です。
現状、マイクリで常に遊べるコンテンツはマイニングとアリーナくらいです。
マイニングは単にノードを周回するだけなので、ヒーローは最低限の能力と頭数があればよく、エクステは使い回しが効くために新たな用途を生み出しません。
一方アリーナでは低位アセットが活躍する機会がほとんどなく、一部の上位ユーザーだけが楽しめるコンテンツになっています。
たまに開催されるデュエルとレイドイベントは活躍するアセットがさらに絞られており、低位アセットの価値低下を招いています。
全体としてアセットの用途となるコンテンツがまったく不足している状況です。
この状況は「アセット供給量 > コンテンツボリューム」であり、早期に「コンテンツボリューム > アセット供給量」となる状態を目指すべきと考えます。
コンテンツボリュームがアセット供給量を上回れば、アセットに対するニーズは増加に転じ、アセット価値は上昇します。
アセットに対するニーズが増え、それを入手するためにGUMが必要となるようにゲームシステムが設計されればマイクリの経済は再び上昇気流に乗ります。
エコシステムの改修よりは、まずコンテンツの拡充こそが喫緊の対応として必要なことです。
コンテンツの拡充はこのように非常に重要な課題なのですが、本稿の目的は「その後のこと」(コンテンツ拡充の完了後のこと)なので、このコンテンツの拡充について具体的な提案は割愛します。
本稿が目的とする提案とは、一通りコンテンツの拡充が完了した段階で、マイクリのエコシステムを完全なものにして永続的に発展することを目的とした改革案です。
以下にその案を述べます。
nemで採用されているPOI(プルーフ・オブ・インポータンス)について
nemという仮想通貨がありますが、それが採用しているコンセンサスアルゴリズムに「POI」(プルーフ・オブ・インポータンス)というものがあります。
POS(プルーフ・オブ・ステークス)の要素に加えて、そのアドレスが頻繁に送金等でネットワークに貢献していると、「重要性」(インポータンス)の指標が上がり、その分だけマイニングが成功しやすくなるというものです。
このPOI的な要素をマイクリに取り入れて、アセットの保有量に加えて、プレイの内容(=重要性)等を加味してゲームプレイそのものに価値を持たせる仕組みを導入することを提案します。
「ゲームにかけた 時間も お金も 情熱も、 あなたの資産となる世界」というマイクリのコンセプトにも大いに合致する仕組みであると考えます。
提案の具体的な内容
ゲームの目的
まず、マイクリというゲームの目的を以下のように再定義します。
マイクリを「プレイを通して自分のインポータンス値(以下「I値」)を増やし、運営チームに願いを叶えてもらうゲーム」と定義する
前提として、「I値を持ってる人がとにかく一番えらい!」「みんなI値が欲しくてたまらない!」ということにします。
I値を持つメリット
マイクリは各プレイヤーが持つ「I値」を増やすことを目的としたゲームですが、I値を持つことにはどんなメリットがあるのでしょうか。
- たまったI値を消費することで運営に願いを叶えてもらえる
- ゲーム内におけるI値のシェアに応じて、ゲーム全体のGUM収益からGUMの分配を受けることができる
- ランキング上位にいると目立つ、運営からめちゃくちゃ表彰される
このように、I値を持つことには大きなメリットがあります。
I値の稼ぎ方はいろいろです。
デュエルやナイト戦で活躍して稼いだり、アート制作と販売で稼いだり、ゲーム内のトレードで稼いだり、キングとして大量のアセットを保有して稼いだり。
士農工商それぞれの稼ぎ方があります。
自分のI値がプラスになる行動
具体的には、以下のような行動をとるとI値は増加します。
- ノードの周回
- 所有アセットの増加(ヒーロー、エクステンション、ランド、アート)
- GUMの購入
- CEの購入
- 奉納
- ゲーム内マーケットでのアセット売却
- ゲーム内マーケットでのアセット購入
- デュエルイベント、レイドイベント等での上位入賞
- ナイト戦で上位にランクイン
- フラッグ戦での勝利
- アートの制作、販売、高評価を受ける
- アートの購入
- ゲーム外でのマイクリへの貢献(イベント開催、コミュニティ活動等)
熱心にマイクリをプレイすることがI値を獲得するのに何よりも重要です。
ゲーム内でGUMを使う、稼ぐこともI値を増やす大きなポイントになります。
自分のI値がマイナスになる行動
一方、I値は減少することもあります。
以下のような行動をとると、I値は減少します。
- 所有アセットの減少(ヒーロー、エクステンション、ランド)
- アセットをマイクリからイーサネットに出す行動
- プレイをしないでいる(所有アセットのI値は時間経過で減っていく)
- I値を使って運営に願いを叶えてもらう
- レプリカエクステの売却(GUM化)
- 何らかの不正行為
アセットをゲーム内で取引している分にはプレイヤーのI値は増えていきますが、ゲーム外に出すと大幅にI値を毀損してしまいます。
これによってアセットの取引はゲーム内で行うことが経済的な最適解となるゲームシステムにします。これもGUMの用途となります。
アセットが持つI値
ヒーロー、エクステンション、ランドと、それぞれのアセットは内在的なI値を持っています。
- すべてのアセットは内在的なI値を持つ
- アセットの持つI値は所有するプレイヤーのI値として反映される
- ノードやデュエル、レイド等でアセットを使うとアセットが持つI値は増える(回復する)
- ノードだけをいくら回ってもI値は一定以上は増えない
- アセットを使わないでいると時間経過でI値は減っていく
- マイクリからイーサネットに出してしまうとアセットのI値は大幅に減ってしまう
アセットのI値を最大化するにはデュエルやレイド等で使ってあげることが必要となります。これによって下位のヒーローやエクステにも活用の場が生まれます。
デュエルイベントで上位を狙って強い同じアセットだけを使い続けるか、勝敗はほどどにI値の最大化を狙っていろんなアセットを使うかといった葛藤が、ゲームをより複雑で楽しいものにします。
アセットのI値はゲーム内で取引する分には減らないので、I値の高いアセットはゲーム内で高値で取引されるようになります。
これによって下位のアセットにも大きな価値が生まれます。
初心者や無課金・微課金ユーザーは評価の低いアセットを安く手に入れて、そのI値を高めてから売るといったプレイスタイルを取ることができます。
ランドセクタは不動産的なものですから、I値は基本的に変わらないと考えてよいでしょう。
■I値を使うことで叶えてもらえる願いの礼
さて、プレイヤーは獲得したI値でどんな願いを叶えてもらえるのでしょうか。
- GUMの入手
- オリジナルエクステの入手(旧ノードで発行していたものやここでしか手に入らないもの)
- オリジナルエクステのデザイン、設計権
- オリジナルイベントの開催提案権(レイド、デュエル等)
- オリジナルBGMの依頼権
- オリジナルアートの依頼権
- 限定ノードの解放(自分だけ、指定した人だけ、シティズンだけがプレイできるノード)
- 広告スペースを設置して、その枠に広告を掲載できる
- マスターノッブ、たまやさん、shunP、gumiの国光さんとのお食事券
- 年末のMCHパーティーの招待券
- DJTのストックオプション
- 10個目のランドのセクタ
それぞれに在庫数があり、市場原理で価格は上下します。
ここに挙げた願い事はあくまで一例であり一案です。
他にもいろいろ楽しいことが願い事として実現できそうです。
I値は願い事に使うと減るので、使わずにずっとためておくという選択肢もあります。
各プレイヤーのプレイスタイルが反映されるところです。
さいごに
I値の導入は、既存のゲームシステムをできるだけ改変せずに、ゲームプレイに新たな価値をもたらし、さらにマイクリのエコシステムにおける諸問題の解決を実現するものです。
これはあくまで試案なので、これを叩き台により魅力的なエコシステムの改革案が生まれることを期待します。
最後にですが、このI値の導入はあくまでマイクリに十分なコンテンツが備わって初めて成功しうるものです。
マイクリの最優先課題は何よりもコンテンツの拡充であるともう一度主張して本稿を終わりとします。